メルカリ[4385] 第7回定時株主総会
場所:東京ミッドタウン・ホール Hall A
日時:2019年9月27日(金) 午前10時
[2020年は不参加]
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メルカリの株主総会出席は2年連続2回目です。
出席者は300~400名くらいでした。
議長は山田会長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・事業報告(映像)
・議案説明(山田+スライド)
・事業戦略プレゼンテーション(山田+スライド)
-メルカリ日本事業(田面木執行役員)
-メルペイ事業(青柳取締役)
-メルカリ米国事業(ラーゲリン取締役)
-社会的な取り組みと鹿島アントラーズについて(小泉社長)
・株価と黒字化についての説明(山田+スライド)
・質疑応答 10時51分~
・議案採決
・新任役員紹介
閉会は12時17分です。
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質疑応答の形式は以下の通りです。
-質問希望者は色紙を掲示
-マイクまで移動
-1人1問まで
-議長が内容をまとめてから回答
-17人目回答後に残り3名と予告
1-1 リファラル採用を導入しているのか教えてほしい。
山田「積極的に行なっている。質の高い人材が質の高い人材を連れてくることで、社員の質が担保されている。ただ面接ではそういった点は配慮せず、一定の条件やフィット感を見ながら決めており、同様の水準で判断している」
2-1 投資額(赤字)は今後も増加していくのか?投資への制限設定は?
山田「心配かけて申し訳ない。適正なリスクを勘案しながら投資額を決めている。無制限に赤字が増えて倒産するといったことはないので安心してほしい」
3-1 偽ブランド品やキズ,汚れの問題など出品物の質をどのように担保しているのか?
田面木「禁止出品物を監視する専門チームがあり、AI技術も用いて監視体制を強化している。禁止物の出品委員会を設け日々経営会議にもかけて注視している。汚れなどは基本的には出品者に連絡する形だが、トラブルになった際は窓口に問い合わせてくれれば履歴を確認して対応する」
4-1 グローバルマーケットプレイスの創造を掲げているのに、海外からはプロキシを通さないとメルカリのサービスを利用できない。
田面木「海外から使えないのはセキュリティ上の理由。不正取引をされないようにIPアドレスをブロックしている。今後安心安全を担保した上で海外に展開していく」
5-1 株価が低迷しているのできちんとしたビジョン,ガイダンスを出してほしい。
山田「業績はそれぞれの事業の変化が激しいため、どれくらいの投資が必要なのか見通しがしづらくガイダンスを出すことが難しい。今年一年は勝負の年であり、どれぐらいの投資が必要か精緻な情報が明らかになってくる。現時点でいつ黒字化するのかを言うとミスリードになってしまう。判断できる情報はいずれかのタイミングで出していく」
6-1 中長期と言っている割にユーザ獲得で焦っているように見える。メルペイの友達紹介キャンペーンは品がない。ユーザの質を上げる方向にしてはどうか?
山田「短期的な施策に見えてる部分もあるかもしれない。キャンペーンや広告はどれだけのリターンがあるか見ながら慎重に進めている。指摘でもあったようにやり方については改善の余地があると考えている」
7-1 メルカリあんしん自動車保証について詳しく説明してほしい。自動車離れが進んでいるが?
田面木「自動車本体の出品物の故障に対する保証であって事故に対するものではない。要らなくなった自動車を出品してもらい次の人に引き継ぐための機会となるで大きいチャンスと見ている」
8-1 株価が低い。経費管理をしっかりやってほしい。
山田「心配かけて申し訳ない。繰り返しになるが中長期的な成長を目指しているのでその実現を待ってほしい。経費は重要視しており社内でも仕組みを整えて実際に削減できていると思う。1円でも無駄にしない経営に邁進する」
9-1 メルペイでもICカードや(楽天Edyのような)キーホルダーがあれば便利になる。
青柳「すべてがコード決済で完結するとは思わない。当初からiDによる非接触型決済も用意しており、使いやすさでは満足度No.1の評価をされている。Amazon Goのように決済体験を感じず空気のように終わることが目指していく姿。研究開発部門では音波や電波,タグを使った方法も中長期的では視野に入れている」
10-1 販売手数料について。ラクマが3.5%なのに対しメルカリは10%と高い。ユーザが安い方に流れてしまう心配はないのか?
田面木「現状の手数料はきちんとしたサービスを提供する上で適切だと考えている。日本最大のフリマアプリで一番ユーザが多いため出品した際に売れやすいという強みがある」
山田「より多くの商品があることでより高い金額で買ってくれる客もいる。手数料の差以上の金額の差で売れるのであればメルカリを使い続けてくれる。競合は増えてくるが最大手の強みとテクノロジーを使って売買しやすい場を作ることで対抗可能」
11-1 情報開示の姿勢について。もっと具体的な数字を出してほしい。投資回収率を教えてほしい。
山田「競争戦略上の理由で情報をオープンにできない。確固たるものを示せず心苦しく思っている。開示しても構わない状況になったら随時開示していく。投資回収率といった情報も開示できるものからしていく」
12-1 短期目線の株主意見に敏感になりすぎているように感じる。ソウゾウやメルカリチャンネルなど魅力的なサービスが削られている。魅力的な新サービスがあれば教えてほしい。
山田「投資をしていく中では当然費用対効果を考えている。ソウゾウやメルカリチャンネルの終了もシビアに判断した結果、大きな成長が見込めないとして撤退した。全く別なサービスを始めるということは考えてない。三本柱(日本事業,米国事業,メルペイ)に注力したいと考えているが、日本事業の中で新サービスを付加するといったことは随時やっていく。研究開発にも力を入れてやっている」
13-1 これまで利用してなかった層の開拓として、直接的にチャリティーや被災地支援ができる仕組みがあればいいのでは?寄付文化のあるアメリカでの展開にも繋がる。
田面木「先日のメルペイのカンファレンスにおいて、ふるさとチョイスで復興支援の寄付ができるようになることを発表した」
ラーゲリン「チャリティーに関してはずっと自分の頭の中にある。アメリカでは寄付した金額分の税金を引かれることもあって意識が強いのは間違いない。どうやって流通額を高めていくかを考えていく中で時期や規模見ながら検討したい」
14-1 メルカリボックスを見ていると取引時でのトラブルの多さが気になる。全額補償が一部補償になったことについて説明がほしい。
田面木「個人同士の取引なのでトラブルは確かにある。トラブルがあった際は問い合わせ窓口で個別に対応している。一定のルールは設けずに個別に事例を参照して商品や代金の補償を決めている」
15-1 ここ一年の買収効果を定量的に説明してほしい。また鹿島アントラーズの買収はどのようなシナジーを見込んで行なったのか?
山田「自動車分野は当社の中で成長の早い分野のため、強化すべき領域としてCARTUNEを買収した。詳細は言えないがカタログを拡充してCARTUNEでも購入できるようにしていく」
小泉「昨年のアントラーズは売上高70億円で利益は4億円程度。アントラーズサポーターに対してメルペイの入会案内をしており、メルペイユーザにはポイントが、アントラーズには強化費が付与される仕組みになっている。スタジアムで使えるようにしたりと茨城県中心でメルペイを担いでいる。事例がないと導入してもらえないので、アントラーズによって茨城で展開し、茨城の事例を使って全国に展開したい」
16-1 海外展開のタイミングについて。配送インフラやモラルの問題もあるが?
山田「拡げるのにあたって重要な要素は決済や配送網。アジア中心に色々な国をウォッチしているが普及するタイミングではないと考えている。しばらくは三本柱に集中したい。注意深くウォッチしながら進出のタイミングを図っていきたい」
17-1 いい赤字だと割り切った説明をしてほしい。売上高拡大のビジョンや資金繰りについてしっかり説明すれば株価も下がらない。
山田「説明が足りない部分があり申し訳ない。我々としてはいい赤字だと考えている。トップラインは伸びており投資に対するリターンも十分見合うものだと考えている。競争戦略上の問題がなくなることはないが、より確信度が高まってくれば説明したい。全世界でマーケットプレイスを作ることに向けて邁進していきたい」
18-1 物流面において将来的な構想があれば教えてほしい。
田面木「現状は事業者に頼っている状況。日本では物流事業者の拠点に梱包資材を置いたり、メルカリ教室を開いたりして物流の提携は随時アップデートしている」
ラーゲリン「最初数年はコスト交渉ができる立場ではなかったが、今は月間ユーザ200万人超えでUSPSやUPS,FedExと交渉し3社とも利用できるようになった。通常よりも3~4割安く郵送できるようになっている。QRコードをかざすことで自動的に梱包できる仕組みも実現した。これからもかなりのリソースを注いでいく」
19-1 米国事業はどれくらいのユーザや流通量があれば勝てる状況といえるのか?
ラーゲリン「アメリカでは直接人が会って取引をするマーケットプレイスも存在し、中古市場の構築に役立っている。郵送を中心に何でも売れるマーケットプレイスはあまり競合がない状況。シェアの取り合いというより、オンラインで売った経験のない人がどうすれば売るようになるかにフォーカスに当てている。一般化というところまではたどり着けていない。日本のように『何か売りたい際はメルカリ』と思われるようにしていきたい」
20-1 取締役候補者に自社株を保有していない人がいる。
山田 「役員はストックオプションという形で株を持っている者が多い。社内にいると株を買うタイミングが難しいという面もある。権利行使をすれば株式になるので、経営陣も株主と同様に株価を最重要課題として認識している」
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昨年に続き厳しい意見は多かったのですが、あの惨状に比べれば雰囲気はそこまで悪くもなかったと思います。
事前に株価と黒字化について説明する作戦は成功したように見えます。
先に謝られると強く出にくいというのはどんな場面でも同じですね。
ただ内容的には特に新しいものはなく「中長期的な成長を」という従来の説明でした。
各事業の戦略説明や質疑応答での回答を担当役員がされるようになったのは良かったと思います。
気になったのは二部構成をやめてしまった点です。
昨年で唯一褒めた部分なのに。
時間伸びすぎるのを嫌ったんですかね?
こういうサービス企業は株主説明会(ユルい質疑応答の時間)があった方がいいと思うのですが。
まあ総会内での質問者数20名は多い方ではあるので、それで充分という考えなのかもしれません。
係員はスーツ姿の方とメルカリロゴ入りのTシャツ姿の方が混在していました。
個人的には全員軽装でも"らしさ"があって良いのではと思います。
公式サイトにて事業報告の動画やプレゼン資料が公開されているので参考に。
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お土産はありません。
招集通知にその旨の記載があります。
ただアンケート記入用の良さげなボールペンを貰うことができました。
飲み物はミネラルウォーターのペットボトルです。
また会場外にメルカリ入門セット的なものも置いてあったので回収してきました。
メルカリ使ったことないけど、これでいつでも取引できます。