資生堂[4911] 第120回定時株主総会
場所:帝国ホテル 孔雀の間
日時:2020年3月25日(水) 午前10時
[2021年は不参加]
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資生堂の株主総会出席は8年連続8回目です。
出席者数は事務局発表で297名です。
議長は魚谷社長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・監査報告(吉田監査役)
・事業報告(動画)
・社長プレゼン(魚谷) 10時14分~
-中国事業説明(藤原常務)
・議案説明(魚谷) 10時31分~
・質疑応答 10時36分~
・議案採決
・新任,退任役員紹介
閉会は11時24分です。
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質疑応答の形式は以下の通りです。
-1人1問まで
-係員がマイク持参
-議長が質問をまとめてから回答役員を指名
-8人目終了時に残り1名と予告
1-1 新型コロナウイルス流行によるインバウンド客減少への対策は?
堀井執行役員「渡航禁止令により外国人観光客の来店数は減っているが、ビューティーコンサルタントはできる限りの対応をしている。コロナが落ち着いた後の対応をマーケティング部門と検討しており、店頭では今まで以上のサービスをしていく予定」
魚谷「中国の方々に資生堂がより信用される会社になることが重要。2月から中国でキャンペーンをしており武漢の医療従事者に寄付も行った。化粧を楽しんでもらうためのイベントを開催するなど資生堂を知ってもらう活動も」
2-1 コロナ流行によってゲームチェンジが起こるかもしれない。自動メークアプリ"TeleBeauty"のような新たな取り組みも行われているが、今後の資生堂の戦略についてどういった議論がされているかを社外取締役から説明してほしい。
石倉取締役「これからの美はどうあるべきか、どうすれば世界を美で変えられるかをかなり議論している。急激な変化の中でどう対応するかはもう少し議論をする必要がある」
魚谷「デジタルテクノロジーが様々な業界に影響を与える。TeleBeautyもその一環。アメリカや中国では若年層が化粧品を選ぶ際にテクノロジーが購入行動に影響する。しかしながら客の肌の状況はひとりひとり違うため、最後のところはヒューマンタッチがいる。どちらか一方になるというわけではなく多様化が進んでいく」
3-1 巣ごもりによる購買行動の変化とリスク管理について説明してほしい。
島谷副社長「コロナ対策としては社員の安全を第一として在宅勤務や時差勤務を原則化。店頭ではマスク着用や消毒をしている。これらは客の信頼を得るための活動でもある。在宅によって化粧行動についても変化が起きている。客のニーズに敏感に対応してお役に立つことが使命」
魚谷「店頭のビューティーコンサルタントに聞くと『目のメークアップをしっかりとしたい』という客が増えている。またマスクによる肌荒れを訴える客も多い。そういったことへの対策もプロモーションできないかと考えている。この週末は店頭にも結構客が来店している。しっかり捉えながら適時できることをやっていく」
4-1 SDGsの17項目で何を重視しているのか教えてほしい。
青木取締役「環境と社会、文化的な分野で強力に活動している。製品の中でパッケージが大きな割合を占めているので9,10,14番。プラスチック材料を減らすために詰替えや付替えは今までも続けてきた。最近はリサイクルやリユース,生分解性の活用も。2025年には全てのパッケージに適用する。紫外線ケアとしては3,13番、気候変動対策として6,11,12,13,14番も。社会分野ではジェンダーの平等を中心として5,8,10番。社員の8割が女性であるため女性の活躍する企業としてはパイオニアでありたい」
魚谷「資生堂らしさという点では5番。男女平等だけでなく国籍や障害など全体で多様性を高めた先進企業に」
5-1 企業CMや招集通知の表紙にメガネをかけた少女が採用されているが、メガネを推奨するという意図か?
魚谷「環境問題に対して関心を持つ若い世代が増えている。次の世代に対して美しい地球環境を残す責任があると思い、初めて若年層を採用した。メガネを推奨するという意味ではなく多様性の表現のために使った」
6-1 エイジングケア商品の方向性について説明してほしい。
魚谷「資生堂の強みは40代以上の女性に信頼されていることなので更に強化していきたい。美と健康はオーバーラップしてきている。内外の全体的な美を実現することは資生堂がもともと掲げてきたこと。資生堂の"The Collagen"は日本で一番シェアが高い。化粧品がメインではあるが、その延長線上としてトータルで美を提供できるように考えていく」
7-1 投資有価証券について。関係会社株式が大きく減っているが事業への影響は?
クームスCFO(通訳あり)「上場銘柄を含め株式を保有しているが、2019年は29から6銘柄に削減した。定期的にレビューを行い、事業にとって必要なのか見直しをしている。もちろん保有するメリットが資本コストを上回る必要がある。2019年は有価証券の簿価を上回る時価で売却できた」
魚谷「事業に大きく影響を与えるような関係会社の売却はやっていない。構造改革でどうしても収益性を見込めない際は売却もあり得るが、事業の根幹をなすような売却はない」
8-1 第4号議案の長期インセンティブ型報酬制度をこのタイミングで導入した理由は?
魚谷「2019年から導入している。今年からの3カ年の分を提案している。もともとは1円ストックオプションをやっていたが、見直して昨年から変更した」
9-1 化粧品の評価について。他社製品との比較は行っているのか?
吉田執行役員「大変意識をして開発をしている。商品開発部門と研究開発部門が連携して、自社他社の既存製品と比べて使用感や効果が得られるかをテストを繰り返し、勝った商品を提供している」
魚谷「ブラインド調査も行っている。嗅覚の強い社員によってワインのテイスティングのようなテストも」
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かなり迷ったのですが結局出席です。
6月に次ぐ株主総会シーズンではありますが3月はもう行きません。
資生堂総会は毎年2000人弱が出席するマンモス総会です。
それもこれもお土産という要因が大きいのでどう対処するのかなと思っていました。
そして届いたのが18日付の例のハガキです。
廃止によって来場者を減らそうとする企業もある中で、資生堂は権利行使者全員にお土産を郵送という大盤振る舞いな対応でした。
(いわゆる平和不動産スタイル)
以前から思っていましたがこれが日本のスタンダードになればいいのに…
そして本日の総会です。
いうまでもなくこれまで出席してきた株主総会とはまるで様相が違いました。
招集通知にも予告がありましたが会場で気になった点を羅列すると
-スタッフは全員マスク着用
-各所に消毒用アルコールを準備
-会場へ向かう通路にサーモグラフィーカメラ
-飛沫感染対策で宝くじ売り場のような受付
-配布資料のファイルにマスクを添付
-会場内のイスは2脚分くらいの間隔を空けて設置
といった具合。
総会進行では大きく時間短縮が図られました。
資生堂総会の一番の特徴ともいえる魚谷社長のプレゼンは15分程度に。
株主の前に降りて手振り身振りで話すスタイルも今回は封印され、終始議長席からの説明でした。
またその途中には中国地域CEOの藤原常務が上海からライブ中継で参加したり、封鎖されているイタリア法人CEOからのメッセージ映像といったものもありました。
質疑応答も短縮気味でした。
役員もマスク着用なので回答するときだけ外す形。
また質問者のマイクはその都度消毒しているとの説明もありました。
例年行われていた展示も中止のため、閉会後は皆さん速やかに撤収という感じ。
ちなみに株価はえらい下がってますが総会の雰囲気は悪くなかったです。
資生堂の総会運営力はやはり凄かったなと。。。
株主総会ウォッチャーとして貴重な経験になりました。
株主総会ウォッチャーとして貴重な経験になりました。
ちなみに資生堂は公式サイトで事業報告やプレゼン部分の動画を毎年公開しているのでどうぞ。
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お土産は郵送です。