メルカリ[4385] 第6回定時株主総会
場所:東京ミッドタウン・ホール Hall A
日時:2018年9月28日(金) 午前10時

[2019年の記事はこちら]

メルカリの株主総会出席は今回が初めてです。

出席者は500名程でした。

議長は山田会長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・上場における感謝(山田)
・監査報告(福島監査役)
・事業報告(動画形式)
・議案説明(山田)
・質疑応答 10時19分~
・議案採決
閉会は11時39分です。

質疑応答の形式は以下の通りです。
-質問希望者は色紙を掲示
-質問者はマイクまで移動
-1人2問まで
-議長が質問をまとめてから回答
-21問目終了時に残り3問と予告

1-1 米国市場のMonthly Active Usersを教えてほしい。
山田「MAUは先行投資フェーズにあるので開示は控えたい」
1-2 日本市場と比べてアプリダウンロード数が半分程度なのに対し流通額が10分の1と少ない理由は?
山田「ダウンロード数は累計ということもあり、必ずしもユーザ数を示すものではない。また日本に比べてアプリが多いこともあってリテンションが一般的には低い」
2-1 赤字解消の時期は?
山田「時期は差し控えたい。現在は利益を生むよりトップラインの成長。中長期での株主価値の向上を目指す」
2-2 今回の上場で調達した資金の使い道は?
山田「ユーザ拡大に向けた広告宣伝費や優秀な人材確保のための人件費、借入金の返済、サービス向上のための投資」
3-1 株主は利益を追求している。赤字体質は如何なものか?
山田「先行投資事業や海外メルカリ事業、メルペイへの投資を行うため連結黒字化の時期の言及は控える。当社は成長段階で短期的な利益ではなく中長期的な大きな成長を目指す。株価が低迷して心配を掛けた。一時的な株主還元策ではなく中長期的な企業価値向上が最大の利益還元になると考えている」
4-1 メルカリはPCからの使い勝手が悪い。
濱田取締役「99%の客がスマホを使っているのが現状。改善の余地はあるものの優先順位は高くないという認識。それでも改善は進めていきたい」
5-1 アメリカではチャリティ文化が根付いており社会貢献意識が強い。売上げの一部をチャリティに回すといったような考えは?
ラーゲリン取締役「アメリカでは要らなくなったものが捨てられるのではなく寄付されることが多い。戦略の細かいことは言えないが指摘された点はアメリカの経営チームも把握している。売って得た金をどう持っていくかについては様々な施策を検討中」[日本語です]
6-1 ダウンロード数に対するMAU比率への見解を聞きたい。
山田「ダウンロード数は累計なので社内的にはMAUをKPIに置いている。まだまだ活性化できると考えている。テレビCMや新しい取引機能を強化することで掘り起こしていきたい」
6-2 上場の感想は?上場前との変化があれば聞きたい。
山田「上場企業となり、これから金融関連事業をやっていく中で非常に大きな社会的な責任を感じている。コンプライアンスやガバナンスを重視して社会の公器になるべく頑張っていく」
7-1 アメリカは物流の到達率が高くない印象がある。CtoCサービスの障害にはならないか?
山田「日本と同様に中古品マーケットが存在しニーズはある。eBayの北米市場は4~5倍あり、環境の違いはあるがEC化率は日本よりも進んでいる。適切にサービスを改善し適切なプロモーションをすることで日本同様の成長することは可能」
8-1 黒字転換の時期を答えてほしい。今期の業績予想は?
山田「日本のメルカリはすでに黒字だが、海外事業やメルペイに先行投資を行っているため連結では赤字を計上。メルペイへの投資金額にもよるため業績予想は困難で非開示としている」
9-1 メルペイについて。競合も多い中での後発参入になるが差別化は?
山田「メルペイは現在準備段階。戦略も練っている段階なので詳細な開示は控える」
9-2 ブロックチェーン技術への投資について。
山田「研究は進めているが現在において決定していることはない」
10-1 現金や甲子園の砂が出品されることがあった。出品物のチェック体制は?
山田「お騒がせして反省している。安心安全な場所の提供なしに成長はあり得ない。禁止出品物は違法なものに加えて倫理的な観点から検討する形に変えた。監視体制では人員増強以外にAIも活用。AIで検知した際は身分証の提示を求める対応も」
11-1 メルペイのプロモーションでアフィリエイト広告を使う予定は?
山田「プロモーション戦略は現在検討中。決定している事実はない」
11-2 メルペイがメルカリIDと紐付けた評価を利用することによって何ができるようになるのか?
山田「世の中の様々なサービスで利用可能な世界を目指している。詳細開示は控える」
12-1 山田会長がどんな発言するのかを期待して出席しているのに表面的なことしか言っていない。将来的なビジョンを語ってほしい。
山田「初めての総会で不慣れなところもあり申し訳ない。メルカリのミッションの実現には世界津々浦々まで考えると数十年スパンになる。まずは米国事業とメルペイを立ち上げ数年で結果が出てくる。その結果を見ながら中長期的な企業価値向上を目指す」
13-1 来年にいくら利益を出すと決意表明してほしい。
山田「繰り返しになって申し訳ないが、成長段階なので短期の収益性ではなく将来の大きな成長に向けた中長期の経営を行なっている。株主にも中長期で応援していただきたい。短期的な赤字は将来により大きな黒字を出すための先行投資」
14-1 海外展開について。eBayがあるにもかかわらずアメリカを選んだ理由は?eBayに対してメルカリの強みがあれば教えてほしい。
山田「日本でもヤフオクがある中で参入しスマホに特化することで成功できた。eBayはBtoCをメインにしているのでCtoCのメルカリとは異なる。中古品市場はアメリカの方が極めて大きい。個人に使い勝手の良いサービスを提供することで成長は可能」
14-2 中国や東南アジアへ展開する考えは?
山田「現在はアメリカ、イギリスの成長に注力している。それ以外の市場はアメリカとイギリスの成長を見極めた上で行う」
15-1 "中長期的"と繰り返しているが、10年先をどのように考えているのか?
山田「成長フェーズにあって動きも速いため10年先を見極めるのは困難。今後も成長機会を見極めて挑戦していく」
16-1 アメリカ市場で予想以上に苦戦、善戦している点があれば聞きたい。
山田「1年かけてローカリゼーションを行っている。ベースはオンライン広告で、特定エリアではラジオ広告や屋外広告を行っている。株主から預かった資金は規律を持って投資していく」
17-1 今後の新規事業として会長が興味を持っている分野があれば教えてほしい。
山田「新規事業ではソウゾウを設立し旅行領域でのサービスを開発中。メルカリ級のサービスを作るべく進めている」
18-1 先ほどから会長の回答が曖昧。
山田「至らぬ点があった。今後の改善に役立てる」
19-1 アメリカでの展開について。例えばUberと提携するなどしてプロモーションや配送面などで日本とは違う方法を考えてほしい。
山田「ラーゲリン取締役を中心に戦略を考えている段階。具体的には申し上げられない。着実に成長しており今後日本を超えるような市場になると考えている。投資に関しては規律を守り、今後の数字を見ながら」
20-1 会長がメルカリを通じて作りたい世の中のビジョンを聞かせてほしい。
山田「世界一周をして新興国を回った中で、彼らがもっと豊かな生活を送れないかと考えていた。日本に帰ってきたらスマホが普及していたので、このツールによって世界中の人がもっと効率的に資源を使いもっと豊かな生活ができるのではと思いメルカリを作った。自分にできることはインターネットプロダクトを作ること。自分ができることを最大限やっていくことで少しでも世の中を良くしたい」
21-1 海外展開について。なぜ初めにアメリカなのか?東南アジアに進出しない理由は?
山田「アメリカは世界の縮図であり様々な文化が混在している。そこで成功できれば他の国でも成功できると考えている。東南アジアは決済インフラや配送インフラが不十分な状況。いずれは進出したいが優先順位は低い」
22-1 海外展開について。アメリカもいいが中国にも重きを持ってほしい。
山田 「アメリカと中国共にに大きな市場とは理解している。両方の市場を同時にやるのは我々の体力では難しいので現在はアメリカ中心に取り組む」
22-2 何でも良いので小泉社長の声が聞きたい。
小泉「話したかったのでありがたい。メルカリは資金調達で得た多額の資金をマーケティングに投資することで多くの客に使ってもらい日本事業の黒字化につながった。日本のMAUは現状1000万人強、スマホのアクティブユーザは7000万~8000万人なのでまだ大きなマーケットは残っている。より多くのジャンルを提供することで多くの客に利用してもらいたい。また中長期の経営としてアメリカとメルペイに投資していく。会社の金を無駄に使うことはせず有効に活用して中長期で企業価値を向上させたい。ミッションを達成すべくこれからも尽力する」
23-1 女性登用について。メルカリは女性の利用が多いので女性の力を会社の成長に活かしてほしい。
山田「我々としても課題意識はある。当社が必要とするスキルが持ってバリューを実践できる役員候補がいれば性別や年齢、国籍問わず選任する考え」
24-1 会長の答弁を聞いて失望した。こんなビジョンのない会社はない。
山田「自分の答弁で心配をかけて申し訳ない。今後の参考にする」
24-2 第1号議案の"吸収分割契約"とは?
山田「吸収するのはメルカリの決済事業。メルカリのポイントや売上げをメルペイに移管するもの」

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11時55分から事業説明会に移りました。
流れは以下の通りです。
・登壇役員紹介
・事業説明(山田+スライド)
・日本事業と今後の成長戦略について(小泉+スライド)
・質疑応答 12時22分~
終了は13時1分です。

1-1 プロ野球球団を保有する考えはないか?
小泉「昨年は日本ハムとキャンペーンを行ない、球場外でのフリーマケットの実施や選手を活用したプロモーションをした。今年はオリックスと提携し球場に広告を掲載している。球団経営は相手がある話なので何か言う立場にない。スポーツは社会性とビジネス共に価値のある領域。スポーツ用品は高いこともあり、様々な競技と接点を持つことで多くのユーザを獲得したい。スポーツを通じても社会に責任を果たしていきたい」
2-1 メルカリのアプリについて。送料込みと送料別が紛れているのでわかりにくい。
山田「参考にする」
3-1 イギリス事業の状況を教えてほしい。
山田「昨年立ち上げた段階であり、まだ事業を拡大するような状況ではない。マーケティング効率などを勘案し事業拡大できるフェーズまで持っていこうとする段階」
4-1 アメリカのメルカリにおける儲けが出る最低金額を教えてほしい。
山田「送料は高いが、商品の値段は日本と変わらない。最低金額は3ドルになっている。アメリカでは送料は購入者負担が多い。ほとんどはUSPSが提供する日本のメルカリ便のようなものを使っている。送料は6ドル~10ドル台くらい。国土が広いので一律だと平均値は上がっていく」
5-1 アメリカでの資金調達について。どのような企業をターゲットとしているのか?
山田「東証でIPOしたが海外投資家にも買っていただけているのでバックアップは得られやすい状況。USPSやUPS、FedEx等の配送業者とはとかなり良い関係。PRはラジオや屋外広告を試しながら効果のある手段を行なっていく」
6-1 小泉社長が説明会で話した内容を株主総会で話せばよかったのでは?
山田「今後の参考にする」
6-2 eBayはCtoCビジネスをやめたわけではないと思うが差別化は?
山田「ヤフオクもCtoCから始まったが現在は7,8割はスモールBからの出品でありeBayも同じような状況。当社はスマホで簡単に出品購入できるサービスを作ることで流通額を拡大させてきた経緯がある。アメリカでも同じことをやれば事業拡大できる。AIなど技術への投資も進めており、他社に比べ技術的なアドバンテージもある」
7-1 ベンチャー企業支援について。
山田「メルカリファンドを設立しいくつかのベンチャーに投資している。我々のビジネス拡大やキャピタルゲインを考慮してやっている。会社としての支援は行なっていない。個人としては母校の早稲田大学で授業を持っており、若い世代へのプログラムに協賛することも。ベンチャーエコシステムの拡大は会社の拡大につながるので支援していきたい」
8-1 メルカリの評価制度について。
山田「評価はアセットであり、IDに紐付いた評価状況が取引での信頼に繋がる」
9-1 ヤフオクのユーザからするとフリマアプリは安物を売っているイメージがある。
山田「ヤフオクに比べると平均単価が安いのは事実だがメルカリの平均単価も年々上がり続けている。スポーツ用品やスマホ、車も売られ始めている。徐々にそういったイメージを払拭して信頼されるプラットフォームにしていきたい」
10-1 山田会長と小泉社長の役割分担について。
小泉「5年一緒に経営している。ビジネスをする上では自分にない可能性や能力を持った仲間と事業を作っていきたいと思っている。山田会長はエンジニアリング能力やプロダクトを大局的に見る能力を持っている。自分はマーケティングやファイナンス、人事など会社を大きくすることに注力している。いいバランスでやっていると思う」
10-2 長澤CFOにメルカリをどうしていきたいのか聞きたい。
長澤「会社の成長実現のための戦略を実行するためには財務のエンジンが必要。ファイヤーパワーを会社として蓄えられるか。日本のメルカリ事業は年々利益が増えており、広告宣伝費も将来的にはそんなに増加するものではないので利益を出せる体質になっている。海外事業や日本国内でのエコシステムを作るため規律を守って投資していく。赤字であるがあれだけの株価がついたことには重みを感じる。将来的には利益を出して株主に報えれば」
11-1 本物のブランド品を出品したにもかかわらず、メルカリ側から買取業者に鑑定してもらった上で出品するように言われた。
山田「精査してプロダクトの改善に努めたい」
12-1 チケットキャンプのような事業の検討は?
山田は「現在のメルカリでは転売目的のチケットのやり取りはできない。いろいろな問題もあり今の状況では社会的な責任は果たせないので禁止している。決定した事実はないものの今後チケット事業者と取り組みはできると思っている」

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株主総会のみで帰っていたらボロクソに扱き下ろすだけの記事になっていたことでしょう。
総会の質疑応答は本当に酷かったので。
事業説明会まで出たおかげでガスが抜けたというか、モヤモヤはだいぶ解消されました。
ただ株主総会出席者の3分の1か4分の1程度しか残っていなかったので、相当多くの方がイライラして帰られたのかと思うとキツいですね。

総会運営に力を入れる前のグリーの総会(2013年頃)を思い出します。
何でもかんでも議長が答えて、結果的に何も答えずに終わるスタイルとでもいうのでしょうか。
まあ事務方の指示なのでしょうが、今回は想定問答集の朗読会になってしまった印象です。
メルカリ全体のこととアメリカ事業に関する質問が集中した影響もあるのでしょうが、回答はもう少し分担できたような気がします。
会長は進行と全社的な質問の回答だけを担当して、国内は小泉社長、アメリカはラーゲリン取締役、メルペイ関連は青柳氏みたいに。
特に小泉社長はシャキシャキと話すエネルギッシュな方だったので、彼の話す場面を増やしておけば株主の不安不満も減ったのではと思います。

評価できるのは事業説明会を開催し二部構成にした点です。
最近は多くなっていますが、これをやるメリットは質問のしやすさです。
株主総会では言い出しにくいようなユルい質問を投げかけることができます。
またメルカリのような企業はサービスに対する意見やクレームが出てくるのが必然なのでそれを消化する場所にもなります。
今回は質疑応答の説明で特に条件がなかったためごっちゃになっていましたが、次回以降は「サービスなど個別的な質問は説明会でするように」と伝えれば上手くいくのかなと。
(例えばコロワイドの総会では「店舗でのクレームやメニューへの意見はあとの説明会で」と案内があります)
そしてさっきまでの答弁は何だったのかと思うぐらい経営陣の方々がよく話すようになりました。
カンペの呪縛から解き放たれたようで良かったです。

最後に今回の株主総会には関係ないことですが、、、
取締役に選任されたメルペイの青柳社長はかつてグリーの取締役で海外事業を担当されていました。
その頃の総会では謝ってばかりで気の毒な方という印象があったのですが、見事に栄転なされたようで。
いやー本当に良かった良かった。

あとメルカリ使ったことなくてごめんなさい。

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お土産はありません。
召集通知に記載があります。
飲み物はミネラルウォーターです。
(アンケート記入用のボールペンも載せておきます)
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