J.フロント リテイリング[3086] 第11期定時株主総会
場所:ニューピアホール
日時:2018年5月24日(木) 午前10時

[2019年の記事はこちら]
[2017年の記事はこちら]

J.フロント リテイリングの株主総会出席は4年連続4回目です。

出席者は200~300名です。

議長は山本社長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・監査報告(土井取締役)
・取締役会活動報告(小林取締役)
・指名委員会活動報告(フクシマ取締役)
・監査委員会活動報告(土井)
・報酬委員会活動報告(太田取締役)
・事業報告(スライド+ナレーション) 10時20分~
・対処すべき課題(スライド+山本) 
 -独禁法違反へのお詫びも
・質疑応答 10時55分~
・議案採決
・取締役紹介
閉会は11時55分です。

質疑応答の形式は以下の通りです。
-質問希望者はカラーボードを提示
-係員がマイク持参
-議長が質問をまとめてから回答役員を指名

1-1 女性登用について。
山本「社外取締役ではフクシマ氏から女性の立場から意見をもらっている。今回新たに佐藤氏も候補者に加わった。博多大丸の社長、大丸神戸店や大丸東京店の店長が女性。部長職では12%が女性。マネージャークラスも含めると35%。直近では女性塾を開講していて、フクシマ氏から働く際の心構えを話してもらうといったことも」
2-1 借入金が多いがちゃんと返済できるのか?
若林取締役「調達した資金は成長戦略投資に当てていきたい。フリーキャッシュフローを稼ぎ出せているので返済には問題ない」
3-1 今回の議案では社外取締役候補者の4名が再任。年数が長くなると社外という特徴が薄れてしまうのでは?
山本「透明性や客観性、公平性をコーポレートガバナンスに取り入れるべきという判断で指名委員会等設置会社に移行した。取締役の選任は指名委員会で審議し、取締役会と株主総会を通しているため客観性はある。任期は一年なので毎年きちっと審査している」
フクシマ「社外取締役は親和性と独立性の狭間で仕事をしている。客観性を失いがちになるという指摘ももっとも。常に外の目から見ることを心掛けている。今後も独立性に軸足をおいてやっていく」

4-1 来年の消費増税で予想される影響について。
山本「前回の消費増税では年間の売上高はマイナス1.5%だったが、店舗の閉鎖や改装を考慮すればほぼ前年レベル。影響はあるものの大きくはない。ただ増税以降、地方店や郊外店が厳しくなったのは事実で、都心店でもボリュームゾーンの売上げが落ちている。損益分岐点を下げ、地方店では地方らしいビジネスモデルを構築し、固定客を作っていくことも大切。一方で今回の増税の分は幼児教育の無償化に使われるため、30代40代の可処分所得は増える。それ好機と見て魅力のあるサービスや商品を出せるように取り組んでいく」
4-2 先日の決算発表直後に株価が急落した要因をどう考えているか?
山本「IFRS移行によるわかりにくさ、比較しにくさといった要素があったと思う。今後の決算発表では理解を求められるようにしていく」
4-3 お土産の廃止について。経費削減はわかるが真っ先に株主還元を削るのは如何なものか?全国一律にこだわるのなら全株主に金券でも発行してみれば?。
村田執行役「期待に添えず申し訳ない。株主の公平性を確保するためで経費削減を目的としたものではない。仮に提案されたようなこと実施すると想定以上の経費がかかる。株主優待全体を見ながら論議していく」
5-1 海外出店を進めていく考えは?
山本「多くの海外店舗を持っていたが、前社長時代に経営が苦しくなり香港やシンガポール、オーストラリアから撤退した。現状では海外の厳しい環境の中で日本の百貨店が収益を出していくのは難しい。現在は上海の新世界大丸百貨において出店ノウハウ等のコンサルタント的な業務を行なっている」
6-1 独禁法違反の件における社内での処分や再発防止策は?
好本取締役「JR東日本の制服受注に対して排除措置命令と課徴金納付命令を受けた。再発防止策として部門長会議、店長会議において社内周知を徹底し今後の方針を共有した。グループ全従業員にメール配信を行い周知内容の徹底した。入札業務に関わる従業員にコンプライアンス研修を実施。競合他社が出席する懇親会などには出席しないよう社内ルールを変更。役員報酬の減額も行った。多大な心配を掛けて申し訳ない」
7-1 自己資本比率について。招集通知に記載がない。
若林「30%台後半で推移しており同業他社と比較しても遜色ない。21年度には40%まで引き上げる目標。IFRSに移行したため親会社所有者帰属持分比率が該当」
8-1 百貨店では商品面で他社と差別化するのが難しい。顧客満足度を高めていく取り組みは?
好本「百貨店としてサービスは最も重視すべき。接客に関しては雇用関係のない取引先の人も含めて入店時に教育している。配属時に客へのもてなし方や業務知識の理解促進も。百貨店においては売り方や展開の仕方が大きな要素になる。一方で大丸東京店にしかないものとしてはファッションナビが予約が取れないほど好評」
山本「品揃えとサービスは一丁目一番地。今後も強化していく」

8-1 関東では大丸松坂屋の存在感が今ひとつ。東京都心の西側には店舗がないのでもっと力を入れてほしい。
藤野取締役「アーバンドミナント戦略では旗艦店を中心にサービスを充実させていく。指摘の通り西部には店舗がない。検討してきたが現状ではチャンスがない」
8-2 新規事業について。幼児教育よりシニア層向けの方が市場が大きいのでは?
山本「人口減少の中において顕在化されているニーズより潜在化しているニーズの方が増える。それを掘り起こすことでマーケットが拡大していくと見ている。非連続の成長を図るためには深いところのニーズを掘り起こして収益に結びつけていく。若い女性は保育教育に不安を持っている。幼児教育で来られた客が百貨店の将来の顧客にもなっていく。一方でセカンドライフに向けてもやれることはたくさんある。そのマーケットに対してもしっかり取り組んでいく」
8-3 "ICTを活用した顧客とのエンゲージメント強化"とは?
山本「これまではカード関連から顧客情報を得ていたが、スマホなど新たなツールで情報収集したニーズを商品化する時代になっている」
8-4 JFRクリエでの取り組みを教えてほしい。
忠津執行役「昨年4月に設立した。9月には特例子会社として認定された。ESG投資を強化する中で障害者雇用に力を入れていく一貫もある。大阪高槻に事務所を構え11名体制で運営。主に大丸松坂屋で使うリボンを手作りで作っている。その他には瓶の封入作業やパソコン業務も。知的障害や精神障害を持つ人も在籍し、皆いきいきと働いている」

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今回は初めて会場後方に座ってみました。
前より高くなっているので会場全体が見渡せたのですが、やはり空いてましたね。

正直ここがお土産を廃止するのは予想外でした。
駅から離れた会場なので株主が押し寄せて混乱といったことはこれまでありませんでしたし。
また大阪と名古屋に中継会場を設営して同様に配布することで、公平性へ配慮する努力はしてきた企業だといえるので。
それでもまあ説明の通りで、今回からより厳密に公平にしたということでなのでしょうね。
平和不動産のように総会に出なくとも議決権行使するだけでお菓子を贈ってくる会社もありますが、株主数が多いと無理かな。

新しくなったこととしては各委員会の委員長による報告が追加されました。
ただ個人的には正直なくても良いかなといった感じです。
スライド使って説明するわけでもなく原稿を読み上げるだけなので。
取締役会が報告をする企業は過去にも見ましたが、報酬委員会までしっかりやるとは。
召集通知にページ取って記載されているのでそれで充分だと思います。
「株主に説明したという事実が欲しいだけだから黙ってろ」という話でしたらごめんなさい。

昨日のイオン総会の記事では書き忘れたのですが、帰りに展示を眺めていると係員に怒っている人がいたんです。
どうも役員が閉会後そそくさと帰ってしまうことに不満があったようで。
以前も書きましたが、Jフロント役員は株主が退場するまで壇上で起立して見送ります。
同じ小売りでも接客重視の百貨店らしさを感じる瞬間です。

Jフロントは総会の模様(開会から対処すべき課題まで)を公式で動画配信しているので貼っておきます。
この点は本当に素晴らしい。

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上述の通りお土産はありません。
召集通知に記載があります。
飲み物はミネラルウォーターでした。
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