旭硝子[5201] 第93回定時株主総会
場所:パレスホテル東京 葵
日時:2018年3月29日(木) 午前10時

[2019年の記事はこちら]
[2017年の記事はこちら]

旭硝子の株主総会出席は3年連続3回目です。

出席者は300~400名でした。

議長は島村社長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・監査報告(竜野常勤監査役)
・事業報告(動画)
・対処すべき課題(島村)
・議案説明(島村)
・質疑応答 10時35分~
・議案採決
閉会は11時57分です。

質疑応答の形式は以下の通りです。
-質問者がマイク席に移動
-特に制限なし
-議長が質問をまとめてから回答者を指名
-6人目終了時に残り2人と予告

1-1 AGCテクノグラスによる品質保証書の不適切記載の件に関して、総会や招集通知で一切取り上げないのは如何なものか?
島村「お客様や株主に心配を掛けて申し訳ない。Webサイトで発表したが株主総会での説明も今後の参考にする。再発防止に取り組んでいく」
宮地CFO/CCO「昨年末にAGCテクノグラスでの不適切な取り扱いが発覚した。製薬メーカーが実験時に使う遠沈管という容器で、製造など安全面に関わるものではない。8項目の品質保証検査をやっていたところ1項目で試薬が入手不可能になったが、すぐに入手できるという情報があったのでパスして出荷してしまった。発覚後すぐに客へ連絡し出荷も停止した。78件すべての客に説明して了解をもらっている。現在は別の試薬で検査して出荷を再開している。製造部門と品質保障部門が機能的に分離できてなかったため見直し。同様のことがないか特別監査を行い、関係者の処分も実施した。コンプライアンスの重要性を言ってきたが隅々まで行きわたってなかった。今後もコンプライアンスを強化していく」
2-1 株式報酬制度についてさらに詳しく説明が欲しい。執行役員を兼務しない取締役の株式報酬を固定にする理由や限度額の根拠について。
島村「従来の株式報酬は長期的なインセンティブの意味が強かった。株式報酬を業績連動型にして交付にすることで中計の達成意欲を高める狙い」
簾執行役員「社外取締役に株式を保有させるのには賛否があるものの、株主と同じ目線で取締役会に参加してもらう目的。過度な付与にならぬよう月例報酬の年額1割程度に設定した。限度額が大きい理由は取締役を兼務しない執行役員も含まれて対象人数が増えていること、中計3年分のため3倍になっていること、業績連動部分が200%の最大値で算出したことによる。同規模の国内製造業50社と比較して策定した」

3-1 中計の戦略事業として取り上げられているモビリティ分野やエレクトロニクス分野について具体的に聞きたい。
平井CTO「自動車関連ではこれまでもアンテナ搭載のガラスを製造してきたが、次世代では自動運転のために高速な通信が必要になる。カメラやセンサー類も付くことてガラスへの要求も変わってくる。5G通信に向けたガラスや赤外線をカットしない特殊なガラスといった開発をしている。ヘッドアップディスプレイ向けに高精度な表面のガラスづくりにも取り組んでいる。エレクトロニクスでは半導体製造に用いるEUVマスクの提供も強化」
4-1 新卒就職人気企業ランキングに旭硝子が入っていなかった。広告宣伝は?
宮地「会社の認知度は低下している。製品の広告宣伝はしていたが会社ブランドに向けては殆どやっていなかった。若者への認知度が非常に低く60代男性が99%なのに対し20代は55%。リクルート面では学生に向けてNewsPicksで特集をしたり広告を出すなどしている。7月の社名変更を機にテレビCMや駅広告などを予定。知名度を得るまで継続的にやっていく」
5-1 社名変更のメリットデメリットは?社内の合意や発表後の株主や顧客の反響は?
島村「グループの一体経営の総仕上げをするという意味。今回の社名変更まで30年かけてきた。AGCへロゴ変更、旭硝子グループからAGCグループに変更、関係会社名をAGC冠するものへの変更。ガラスにAGCの刻印をつける地道な活動も。発表後に国内の取引先や従業員と対話し前向きに捉えてもらっていると実感がある。名実ともにブランドを統一することで全従業員が一体感を持って客や株主に期待される企業グループを目指す」
6-1 雪国に住んでいると屋根から落ちた雪でガラスが割れることがある。丈夫で雪が付かないようなガラスがあるといい。
武田執行役員「合わせガラスを防災安全ガラスとして普及させている。話を聞くと強化ガラスを使った合わせガラスというのが適当に見える。特約店や建材会社に相談してくれれば」
6-2 モラルやマナー面での社員教育について。
簾「AGCグループ全体で内外の教育プログラムを行っている。新入社員にはスピリッドや価値観を共有させている。しっかりとした人格を持つ社員の会社になっていきたい」
7-1 トランプ政権の保護主義やブレグジットなど、世界情勢による業績への影響と対応は?
島村「グループに大きな影響はない。過度な保護主義になると推測不能。現状は心配する必要はなく各地域で事業運営ができている」
8-1 売上高の伸びよりも営業利益の伸びの方が大きくなった要因は?
島村「化学品、電子部材が伸びた。販売数量の増加、ヨーロッパでのガラス価格上昇、クロールアルカリ価格上昇が大きくプラス寄与。液晶用ガラスのコストダウンも」
8-2 投資有価証券売却益について。
宮地「事業会社の株式売却による一時的な利益」

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3月は旭硝子、6月は板硝子とやはり総会巡りの締めはガラスに限ります。
これからもガラス愛を貫いて行きます。

初めの質問は厳しめでしたがそれ以降はいつも通りのユルい雰囲気でした。
10分くらい話された質問者の方もいます。
一般的には2,3分で切られることを考えると、7,8分喋ってやっと止めが入るシステムすごい。
旭硝子の総会らしくていいなとも思いますが。

今年も出席者は大きく減少しました。
会場は前から3ブロックに分かれていて、前方だけがそれなりに埋まって中央がポツポツ後方はガラーンといった感じ。
パレスホテルになったのは2013年からのようですが、出席人数から考えるとあの巨大ホールを使う理由はなくなってきました。
立地とイスがお気に入りで総会会場なら何処よりもパレスホテルが好きな自分としては他に移ったら悲しい。。。
まあ会場借りるのもお金かかりますけどね。
板硝子なんかは小規模ながら展示をやっているので、こちらも空いたスペースでやったらどうでしょう?
事業についてもっと具体的に説明してくれという質問も出ていたことですし。

あと社名が変わりますね。
それについては社長が自ら想いを語っていたので良かったと思います。
(さすがにあれはプロンプターガン見じゃないよね…?)
惜しかったのは質問の回答としてではなく別枠で時間を取ってくれればといったところです。
対処すべき課題の中計の説明なんて招集通知と全く同じ文章を社長が読み上げるだけで時間の無駄なので、その分を社名変更なり不祥事の説明なりに使うべきだったのかなと。

そして変更に伴って新社名告知のためにキャンペーンをされるそうで。
テレビCMを打っている素材系企業は僅かなので気になります。
社風的に変化球系や炎上系はないのでしょうが、どんなものが出てくるか期待することにします。
急にゆるキャラが出てきたりしないかな?


お土産はありません。
招集通知に記載があります。
飲み物はお茶のペットボトルでした。
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