日本板硝子[5202] 第151期定時株主総会
場所:品川インターシティホール
日時:2017年6月29日(木) 午前10時

[2018年の記事はこちら]
[2016年の記事はこちら]

日本板硝子の株主総会出席は6年連続6回目です。

出席者は200~300名でした。

議長は森社長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・監査報告(山崎監査委員長)
・事業報告(動画形式)
・対処すべき課題(森)
・無配へのお詫び(森)
・議案説明(森)
・事前通告質問への回答(森)
・質疑応答 10時33分~
・議案採決
・取締役紹介
閉会は11時23分です。

質疑応答の形式は以下の通りです。
-係員がマイクを持参
-議長が質問をまとめてから回答
-6問目終了時に残り2問と予告

※事前通告質問に関してはスルーします。

1-1 北米の高機能ガラス事業について。現状はカナダの1工場のみ。
ミラー副社長「現在はアメリカに高機能ガラス用工場はなくカナダで生産。一部の製品は北米において需要が拡大する可能性があるため、収益が見込めるか検討している。現状では具体的な計画は持っていない」
森「高機能ガラス製品としてタイミングベルト用グラスコードの販売をしている。欧州ではベルトが主流だがアメリカではチェーンが主流。ベルトメーカーと共に拡大を進めている。現状はカナダで北米を全てカバーしているが適時対応していく」
2-1 何年も無配が続いている。復配の見込みは?
森「2013年3月期から5期連続の無配。申し訳ない。配当の再開は最優先の課題。構造改革の実施により前期は最終黒字となり、キャッシュフローの方も改善。今期は"未定"であり経済状況等の推移を見ながら判断する」
2-2 役員報酬について。
森「長期インセンティブプランの支払いは行っていない。地域や事業の責任者に対しては営業利益やキャッシュフローの目標達成度に応じて賞与を支払った。従業員のやる気を引き出すため」
3-1 今期の利益水準が達成できた際の配当は?
森「単年度の利益だけではなく長期で配当できる状況か勘案する必要がある。今期の目標達成は大きな要因だが、最終的には安定的に配当を出せる財務基盤であるかどうか」
3-2 経産省が促している国内板ガラス業界の再編について。
森「経産省がいう人口減少に伴う板ガラス需要減のシナリオは考えられる。対策が必要なのは各社の共通認識。当社としては高付加価値化を進めて利益を確保する。全体のボリュームが減ることに対する効率化も検討」
4-1 ピルキントンに対する債務残高は?
諸岡副社長「社内で貸し付けを行い今は300億円を切った形。順次返済させている。全体としての借入金はピルキントン買収時は5000億円以上あったが現在は3100億円。事業でキャッシュを生み出し借り入れの返済にしていく」
4-2 ピルキントンの年金積立状況について。
諸岡「積立不足が増大するリスクを抑える施策を行ってきた。新入社員の確定給付の取り止めや、将来の支払い債務を保険会社に引き受けてもらうよう対処。過去五年では2億ポンド以上あったが直近では債務不足額はなくなった」
5-1 2010年の公募増資で起きたインサイダー取引への対応について。
日吉執行役「大和証券との間で訴訟になっている。係争中のため詳細の回答は控える」
5-2 賠償金を得られた際は配当に回してほしい。
森「賠償を得たいという気持ちは変わっていない。仮に得られたとしても今は答えられない」
6-1 ピルキントンの進捗報告を。
森「買収後2年間は優秀な成績を残したが欧州危機で市場そのものが縮小した。直近では努力や経済の好転により改善。前期において欧州と北米事業が当社の業績を支えている。日本は市場成長が見込めず中国は参入は難しいため、欧州北米で稼ぐのが当面の目標。営業利益率5.6%、今期目標の6%は他社と比べてもガラス部門においては当社が一番高い。是非を問う声はあったが、買収は必要でありやって良かったという認識」
7-1 従業員ではなく経営陣の報酬を聞きたい。
森「執行役の数が増えたので人数分は増えているが、基本報酬額そのものは増えていない。先述の通り目標を達成できた責任者にはインセンティブを払っている」
7-2 減収でも増益となった裏付けについて。
森「生産設備の縮小によりを固定費を下げた。市況の回復で建築用ガラスは欧州危機以前の水準まで戻り利益に寄与。高付加価値化を進めており太陽光パネル用ガラスが伸びている。自動車用ガラスもカメラやセンサー等に対応できる付加価値の高いガラスを出している。売上げは横ばいだが利益の中身が変わった」
山崎「売上高は円換算しており海外の売上げが大きいため円高なら減る。営業利益は収益改善努力が貢献。数量は増えているが換算で減っていると見るべき。問題はない」
7-3 無形資産とのれん代の精査はしているのか?
森「のれん代1000億円はほぼピルキントン買収によるもの」
山崎「会計士によって妥当性を毎年チェックしている。決算書類に載っているということは隠れているわけではない」
8-1 社外取締役の竹井氏の保有株がゼロなのは?
森「原則として株保有に拘わらず社外取締役の監督職務は果たされている。取締役会でも有用なアドバイスを受けている。株の保有は自身の判断によるもの」
竹井取締役「3月の臨時総会で就任した。株は保有していないが株主と同じ立場に立ち企業価値向上に取り組む」


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今月はずっと出席していた企業を何社か切りましたが、板硝子はやはり切れず。><
ガラス総会ブログとしての謎の使命感が品川へ向かわせます。
もう来ないでくれとか思われてそうだけど行きます。ごめんなさい。

雰囲気も悪くなく普通の総会でした。
やっとトンネル抜けるのかなといった感じで。
自分が出席するようになってからは、役員一同による無配へのお詫びが恒例行事になっていました。
現状では配当は未定とのことですが、今日でこの文化も途絶えればなあと思います。

そしてどんなに業績が悪くても無くさなかったのは総会のお土産です。
個人的には昨今のお土産廃止ブームは有名店のお菓子を出していた企業に多い印象があります。
一方で自社に関連するものを配布している企業はそんな波にも負けず頑張って続けていますね。
自分が行っているところだと板硝子以外にデンカやクラレ等の化学企業です。
素材系という一般人には遠い分野のため、株主の製品への理解や親しみを与えるという面もあるのでしょう。
株主総会のお土産の在り方としては本来この形がベストなのかなと思います。


お土産は先渡しです。
昨年と同様のカガミクリスタル製のグラスでした。
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