日本板硝子[5202] 第152期定時株主総会
場所:品川インターシティホール
日時:2018年6月28日(木) 午前10時
[2019年の記事はこちら]
[2017年の記事はこちら]
日本板硝子の株主総会出席は7年連続7回目です。
出席者は300名程でした。
議長は森社長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・事業報告(動画)
・対処すべき課題(森+スライド)
・議案説明(森+スライド)
・質疑応答 10時28分~
・議案採決
閉会は11時22分です。
質疑応答の形式は以下の通りです。
-係員がマイクを持参
-数に制限なし
-議長が質問をまとめてから回答
1-1 戦略的リスク委員会の運用について。
森「従来はボトムアップ型で各事業部から上がったリスクを評価や対策してきた。それに加えて昨年からは全社レベルで考えるべき重要なリスクや中長期的なリスクを戦略的リスク委員会で評価している。昨年は3回実施。最終的にはリスクについて取締役会に報告しチェックを受ける流れ」
2-1 現状の株価に対する見解を聞きたい。
森「我々がどうこうできるものではなく市場が決めるもの。企業価値を上げて投資家の評価を上げる。業績が低迷していたが昨年から2年連続で黒字、借入金の削減も進み配当も再開した。それらが評価されて株価に反映されれば」
3-1 ESGへの取り組みを具体的に教えてほしい。
森「重要性は認識しており対応強化して積極的に情報発信している。省エネ用ガラスや太陽光など環境に貢献する製品を提供する一方で、製造工程では化石燃料を使いCO2を排出している。ガラス生産において毎年1%ずつCO2を削減している。欧州の工場で使われる電力の半分は自然エネルギーが由来。日本では工場の空いたスペースに太陽光パネルを設置するなどしている。従業員の個々の能力を高め参画することが当社の強みの一つ、多様化を進めていく。サプライチェーン全体で倫理規範の遵守状況を確認。日本板硝子材料工学助成会での貢献も。非財務活動をしっかりやっていくためにもガバナンスを強化していく」
4-1 ブレグジットを受けてのポンドレートの見通しや影響は?
諸岡副社長「ブレグジットの際にポンドが急落し、バランスシートの資本の為替が少しマイナスになった。ポンドだけでなくユーロや米ドル、南米通貨のアセットがある。事業を行う国での通貨の動向が重要になってくる。動きが多様のため一概に見通すのは難しい。通貨がバランスシートに与える影響を把握し早めに対応している」
4-2 GDPRへの対応について。
日吉執行役「昨年早くからグループ全体で準備してきた。情報システムと法務の欧州チームを中心に人事、監査など組織を横断したメンバーで対応。基本的にBtoBなので対象の個人情報は限られており、リスクも限定的。ただ課徴金が甚大なのでグループを上げて対応に努める。遵守すべき規則や内規を準備。個人情報保護が進んでいるドイツでの経験が活かせる」
5-1 種類株式の償還は?
諸岡「発行時に発表した通りで2020年辺りをメドに償還していく計画に変わりはない。発行目的はバランスシートの資本を安定させることだった。収益力も改善しキャッシュも2年連続で100億円超えのプラス。利益とキャッシュを元にできるだけ早く償還していきたい」
6-1 売上高と営業利益は伸びているが当期利益は増えていない。
森「前期はアメリカの法人税減税に伴い、96億円の税資産取り崩しが発生した。一過性のもので現金流出があったわけではないが利益には影響。実力的には100億円近い増額ができたと思っている」
6-2 固定費を減らす取り組みは?経営効率を高めるというがピルキントン関係の子会社が多い。
森「この数年はできるだけ設備の稼働率を上げて無駄をなくしている。ヨーロッパでは需要の低下もあり4分の1に当たる能力削減をし、それに伴って従業員の退職も。自動車用ガラスでも古い設備を止めて能率のいい設備に集約させている。子会社の数が多いのは国ごとに法律上の法人を置く必要があるためで、実際の運営は連結で合体して行っている。各会社に社長がいるわけではない」
6-3 ITを用いた効率化は?
森「欧州全域と北米を含めたバックオフィス業務はポーランドに集約した。アジアは中国、南米はブラジルに集約。その結果として人員削減も。工場での検査においても従来では目視だったのをカメラとコンピュータでやるように。北米では人員の定着率が低くスキルの上達が進まないため、ロボットを多く導入して人員削減や品質向上をしている」
6-4 物流費を下げる努力が必要では?
森「日本国内の建築用ガラスは千葉で生産して全国に輸送しているが運送コストがかかる。他社と協力し、西日本では他社の工場から、他社の東日本の客には当社の工場からという取り組みも。欧州ではさらに拡げて国間でのスワップを行っている」
7-1 新製品の開発状況を具体的に教えてほしい。
森「最近力を入れているのは太陽光発電用ガラス。ガラスの上に金属膜をコーティングしたもので当社独自の技術。北米のR&Dが推進してきた技術で発電効率を上げる改善を続けている。欧州事業ではピルキントンがフロート製法をリードをしてきたためガラスの融解や成型には先端技術を持っている。最近の自動車はヘッドアップディスプレイや自動運転用のカメラが付いており、ガラスの加工が難しいが我々は先端技術を持っている。高機能ガラスでは日本国内で遺伝子検査機やディスプレイ用薄板ガラスなど。ゾルゲル技術を用いた曇りにくいガラスや水滴が付かないガラスの開発も」
8-1 特許について。申請数やライセンス収入は?
森「出願件数は約100。当社としては費用対効果の高いものを狙って出願している。他社とのクロスライセンスも行なっている」
8-2 株主向けの工場見学会をやってほしい。
森「株主との対話は強化したいが、ガラス工場は安全上の問題も懸念されるため実施していない。対話を深める取り組みとして今日の総会でも製品紹介をしている。最近はWebサイトを通じて製品状況や製造現場の紹介をしている」
9-1 ブレグジットや米中貿易戦争の影響は?
森「ガラス産業は基本的に地産地消のため世界30カ国近くで生産を行っている。イギリスの工場はイギリス市場向け、欧州の工場は欧州向けといった形。自動車産業のように大きな影響を受けるビジネスではない。一部で輸出入が発生するものもあり、タイミングベルト用グラスコードの生産拠点はイギリスだったが一部をポーランドに移した。ガラスそのもののリスクはないが、自動車メーカーなど客が移転する際は協力したい。経済の冷え込みが一番の懸念で需要が縮小した際に向けて柔軟な生産、販売体制を整えていく」
10-1 鉄道によるガラス輸送への見解は?
森「視野にはある。日本でも長距離で送る際は鉄道を使えないかと検討している。欧州や北米では工場に引込線があり原料関係は鉄道輸送も多い。製品によって出荷で使うことも検討」
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配当復活でヒャッハーお祭りだーなんて思っていたけどそんなことはなかったです。
少し厳しめな雰囲気でした。
やはり株価は大切。。。
今日は質問が尽きて閉会したため早く終わった印象だったのですが、昨年とほぼ同じですね。
そのときの記憶が全くないです。自分で書いた記事だけどあの時間合ってるのかな?
(フォーマットを他記事から流用するせいでたまに書き換え忘れることがある)
商船三井に続いてGDPRの質問がありました。
ピルキントンを抱えて欧州ど真ん中なので当然ですね。
たまには自分で質問するかなとも思っていたら聞いてくれた方がいたので感謝です。
(自分の場合、聞いておいて社長そっちのけでスマホ画面を激しく叩き続けるヤバイ奴としか思われないので。"スマホ弄り=遊び"とか"スマホでメモ=外道"のような風潮が早くなくならないかなという愚痴です)
今シーズンの総会は米中貿易戦争の次にGDPRへの対応がホットな話題になるかと思っていました。
実際に取り上げられたのはフルで出席した中だと9社中2社で意外に少なかったです。
これは関係ないからなのか、重要でないからなのか、そもそも知られていないのか。はて?
そういえば今年は通訳さんの出番がありませんでした。
悲しい。。。
旭硝子の方は3月の総会でも言っていたように社名変更に合わせてCM流しまくってますね。
新社名も変更理由も納得ではあるのですが、堅苦しい社名が大好きな自分としては板硝子はどうかそのままでいてと願います。
公式サイトで事業報告の動画がアップロードされるようです。
株主総会のページを見ることがなかったので、前からやっていたのであれば気づかなくてごめんなさい。
展示の実施やお土産配布も継続しており総会運営を頑張っている企業です。
ガラス好きとしても引き続き応援していきます。
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お土産は先渡しです。
カガミクリスタル製のグラスです。
(今年は箱が凄い)
飲み物は会場外にドリンクコーナーがありますが閉会後は閉まるのでご注意を。
場所:品川インターシティホール
日時:2018年6月28日(木) 午前10時
[2019年の記事はこちら]
[2017年の記事はこちら]
日本板硝子の株主総会出席は7年連続7回目です。
出席者は300名程でした。
議長は森社長が務めました。
総会の流れは以下の通りです。
・事業報告(動画)
・対処すべき課題(森+スライド)
・議案説明(森+スライド)
・質疑応答 10時28分~
・議案採決
閉会は11時22分です。
質疑応答の形式は以下の通りです。
-係員がマイクを持参
-数に制限なし
-議長が質問をまとめてから回答
1-1 戦略的リスク委員会の運用について。
森「従来はボトムアップ型で各事業部から上がったリスクを評価や対策してきた。それに加えて昨年からは全社レベルで考えるべき重要なリスクや中長期的なリスクを戦略的リスク委員会で評価している。昨年は3回実施。最終的にはリスクについて取締役会に報告しチェックを受ける流れ」
2-1 現状の株価に対する見解を聞きたい。
森「我々がどうこうできるものではなく市場が決めるもの。企業価値を上げて投資家の評価を上げる。業績が低迷していたが昨年から2年連続で黒字、借入金の削減も進み配当も再開した。それらが評価されて株価に反映されれば」
3-1 ESGへの取り組みを具体的に教えてほしい。
森「重要性は認識しており対応強化して積極的に情報発信している。省エネ用ガラスや太陽光など環境に貢献する製品を提供する一方で、製造工程では化石燃料を使いCO2を排出している。ガラス生産において毎年1%ずつCO2を削減している。欧州の工場で使われる電力の半分は自然エネルギーが由来。日本では工場の空いたスペースに太陽光パネルを設置するなどしている。従業員の個々の能力を高め参画することが当社の強みの一つ、多様化を進めていく。サプライチェーン全体で倫理規範の遵守状況を確認。日本板硝子材料工学助成会での貢献も。非財務活動をしっかりやっていくためにもガバナンスを強化していく」
4-1 ブレグジットを受けてのポンドレートの見通しや影響は?
諸岡副社長「ブレグジットの際にポンドが急落し、バランスシートの資本の為替が少しマイナスになった。ポンドだけでなくユーロや米ドル、南米通貨のアセットがある。事業を行う国での通貨の動向が重要になってくる。動きが多様のため一概に見通すのは難しい。通貨がバランスシートに与える影響を把握し早めに対応している」
4-2 GDPRへの対応について。
日吉執行役「昨年早くからグループ全体で準備してきた。情報システムと法務の欧州チームを中心に人事、監査など組織を横断したメンバーで対応。基本的にBtoBなので対象の個人情報は限られており、リスクも限定的。ただ課徴金が甚大なのでグループを上げて対応に努める。遵守すべき規則や内規を準備。個人情報保護が進んでいるドイツでの経験が活かせる」
5-1 種類株式の償還は?
諸岡「発行時に発表した通りで2020年辺りをメドに償還していく計画に変わりはない。発行目的はバランスシートの資本を安定させることだった。収益力も改善しキャッシュも2年連続で100億円超えのプラス。利益とキャッシュを元にできるだけ早く償還していきたい」
6-1 売上高と営業利益は伸びているが当期利益は増えていない。
森「前期はアメリカの法人税減税に伴い、96億円の税資産取り崩しが発生した。一過性のもので現金流出があったわけではないが利益には影響。実力的には100億円近い増額ができたと思っている」
6-2 固定費を減らす取り組みは?経営効率を高めるというがピルキントン関係の子会社が多い。
森「この数年はできるだけ設備の稼働率を上げて無駄をなくしている。ヨーロッパでは需要の低下もあり4分の1に当たる能力削減をし、それに伴って従業員の退職も。自動車用ガラスでも古い設備を止めて能率のいい設備に集約させている。子会社の数が多いのは国ごとに法律上の法人を置く必要があるためで、実際の運営は連結で合体して行っている。各会社に社長がいるわけではない」
6-3 ITを用いた効率化は?
森「欧州全域と北米を含めたバックオフィス業務はポーランドに集約した。アジアは中国、南米はブラジルに集約。その結果として人員削減も。工場での検査においても従来では目視だったのをカメラとコンピュータでやるように。北米では人員の定着率が低くスキルの上達が進まないため、ロボットを多く導入して人員削減や品質向上をしている」
6-4 物流費を下げる努力が必要では?
森「日本国内の建築用ガラスは千葉で生産して全国に輸送しているが運送コストがかかる。他社と協力し、西日本では他社の工場から、他社の東日本の客には当社の工場からという取り組みも。欧州ではさらに拡げて国間でのスワップを行っている」
7-1 新製品の開発状況を具体的に教えてほしい。
森「最近力を入れているのは太陽光発電用ガラス。ガラスの上に金属膜をコーティングしたもので当社独自の技術。北米のR&Dが推進してきた技術で発電効率を上げる改善を続けている。欧州事業ではピルキントンがフロート製法をリードをしてきたためガラスの融解や成型には先端技術を持っている。最近の自動車はヘッドアップディスプレイや自動運転用のカメラが付いており、ガラスの加工が難しいが我々は先端技術を持っている。高機能ガラスでは日本国内で遺伝子検査機やディスプレイ用薄板ガラスなど。ゾルゲル技術を用いた曇りにくいガラスや水滴が付かないガラスの開発も」
8-1 特許について。申請数やライセンス収入は?
森「出願件数は約100。当社としては費用対効果の高いものを狙って出願している。他社とのクロスライセンスも行なっている」
8-2 株主向けの工場見学会をやってほしい。
森「株主との対話は強化したいが、ガラス工場は安全上の問題も懸念されるため実施していない。対話を深める取り組みとして今日の総会でも製品紹介をしている。最近はWebサイトを通じて製品状況や製造現場の紹介をしている」
9-1 ブレグジットや米中貿易戦争の影響は?
森「ガラス産業は基本的に地産地消のため世界30カ国近くで生産を行っている。イギリスの工場はイギリス市場向け、欧州の工場は欧州向けといった形。自動車産業のように大きな影響を受けるビジネスではない。一部で輸出入が発生するものもあり、タイミングベルト用グラスコードの生産拠点はイギリスだったが一部をポーランドに移した。ガラスそのもののリスクはないが、自動車メーカーなど客が移転する際は協力したい。経済の冷え込みが一番の懸念で需要が縮小した際に向けて柔軟な生産、販売体制を整えていく」
10-1 鉄道によるガラス輸送への見解は?
森「視野にはある。日本でも長距離で送る際は鉄道を使えないかと検討している。欧州や北米では工場に引込線があり原料関係は鉄道輸送も多い。製品によって出荷で使うことも検討」
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配当復活でヒャッハーお祭りだーなんて思っていたけどそんなことはなかったです。
少し厳しめな雰囲気でした。
やはり株価は大切。。。
今日は質問が尽きて閉会したため早く終わった印象だったのですが、昨年とほぼ同じですね。
そのときの記憶が全くないです。自分で書いた記事だけどあの時間合ってるのかな?
(フォーマットを他記事から流用するせいでたまに書き換え忘れることがある)
商船三井に続いてGDPRの質問がありました。
ピルキントンを抱えて欧州ど真ん中なので当然ですね。
たまには自分で質問するかなとも思っていたら聞いてくれた方がいたので感謝です。
(自分の場合、聞いておいて社長そっちのけでスマホ画面を激しく叩き続けるヤバイ奴としか思われないので。"スマホ弄り=遊び"とか"スマホでメモ=外道"のような風潮が早くなくならないかなという愚痴です)
今シーズンの総会は米中貿易戦争の次にGDPRへの対応がホットな話題になるかと思っていました。
実際に取り上げられたのはフルで出席した中だと9社中2社で意外に少なかったです。
これは関係ないからなのか、重要でないからなのか、そもそも知られていないのか。はて?
そういえば今年は通訳さんの出番がありませんでした。
悲しい。。。
旭硝子の方は3月の総会でも言っていたように社名変更に合わせてCM流しまくってますね。
新社名も変更理由も納得ではあるのですが、堅苦しい社名が大好きな自分としては板硝子はどうかそのままでいてと願います。
公式サイトで事業報告の動画がアップロードされるようです。
株主総会のページを見ることがなかったので、前からやっていたのであれば気づかなくてごめんなさい。
展示の実施やお土産配布も継続しており総会運営を頑張っている企業です。
ガラス好きとしても引き続き応援していきます。
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お土産は先渡しです。
カガミクリスタル製のグラスです。
(今年は箱が凄い)
飲み物は会場外にドリンクコーナーがありますが閉会後は閉まるのでご注意を。